金魚愛好家の皆様、アクアリストの皆様、こんばんは!
金魚や熱帯魚が調子を崩したり病気になった時に行う事が多い食塩浴。魚病薬と併用する場合などもありますよね(魚病薬メーカーも病気により「自社薬品+食塩」を推奨)。病気だけでなく新規導入のトリートメントに使ったりもします。
怪しげな民間療法ではなく金魚飼育において歴史的な実証があり、きちんと効果が検証されている飼育方法と言えます。
ですから今まで適当に「塩入れときゃいいや」でやってきた私もそろそろちゃんと調べてみることにしてました。少しですが。
目次
【なぜ食塩浴が効くのか?メカニズム】
《メカニズムの理解も大切》
なぜ食塩浴は金魚の体調回復に効果があるのでしょうか?
「浸透圧調整」「殺菌作用」「ミネラル補充」、「新陳代謝の活発化」「ストレス解消」とか色々言われていますが、ちゃんとした検証結果はなかなか発見できません(効果の実証は多数あります)。
そもそも「なぜ効くか」って大切ですかね?
私にとっては「金魚や熱帯魚がちゃんと元気になる」ことが一番大切で科学的なメカニズムはそれほど重要ではありませんね。
しかしながら、どうぶつ出版川田洋之助著「新番金魚の医・食・住(2007年)」の食塩浴コラムでは食塩浴のメカニズムに触れる理由に対して
「それを使うことのメカニズムがわかれば、自信を持って実行出来ると思うからです。」
と記されていました。そうですね、、。その通りだと思います。盲目的に実行するより少しでも理論をわかって納得してやる方が安心だし、今後の飼育に関してプラスをもたらすかもしれません。
本著や西東社「金魚選び方・飼い方・病気」、シーピーズ社「らんちゅうと金魚の楽しみ方」、「原色・淡水魚の病気」を参照し、ネットも見ながら食塩浴がなぜ良いかのメカニズムに関して調べてみました。
(注)以下適当です。ちゅうかこのブログ全部適当ですが。
《体液バランスの調節・浸透圧》
[浸透圧調整?浸透圧調節?どうでもえーわ]
「浸透圧調整」と言うと単に「水の出入りの調整」つまり「金魚の身体から水が出て行くか入るかの調整」というイメージが大きいです。
同じ意味で「食塩浴をすると金魚の身体の水の出たり入ったりが楽になるので良い=身体の水分量の調整がやりやすいから金魚が楽になって良い」とされることあるようです。
だいたい浸透圧「調整」が良くわかりません。勉強します。
浸透圧「調節」はちゃんと定義されています。同じ意味なの?
かいつまんで言うと「浸透圧調節」とは「金魚等生物が身体の水分に含まれる塩類濃度を一定に調節していること」です。
(「塩類」とは主に塩ですが、それ以外の色々な微量元素(ミネラル分)も含みます。)
海水魚:魚体よりまわりの水(海水)の方が塩分濃度が高い=水が身体から出て行きやすい環境=身体の塩分が多くなりやすい環境
しかし、海水魚は常に多量の海水を摂取し、エラ等の機能で塩分を排出しながら水を取り込むことにより、体内の塩類(塩分)濃度を一定に保つ機能を持っている。
淡水魚:魚体よりまわりの水(淡水)の方が塩分が低い=水が身体に入って来やすい環境=身体の塩分が少なくなりやすい環境
しかし、淡水魚は常に少量の水を摂取し、塩分濃度の低い尿を排出することにより、体内の塩類(塩分)濃度を一定に保つ機能を持っている。
金魚は「水が入りやすい=塩分が少なくなりやすい」環境で、これに食塩浴したら「水が入りにくい=塩分が少なくなりにくい」になるのがいいんでしょうか?
あんまり水が入らない方がいいの?
松かさ病は水が入りすぎですか?
私、もうわけわからんので「浸透圧」なんかどうでもいいことにしました!!
[塩含めた塩類のバランス取ればいいんじゃないの?]
上述「金魚の医・食・住」の川田氏によると、「地球上のほとんどの生物は海水に近い体液組成になっており、この組成がバランスよく調整されているか否かが健康に影響する」とのことです。
そして重要なのは金魚の「体液のナトリウムイオン(Na+)とカリウムイオン(K+)のバランスを取ること」とされています。
まあ、別に川田さん学者でもなんでもないですが、、、
しっかりを読んでいなので参考までですが富永正雄著「原色・淡水魚の病気」では病症にある魚は「カリウムイオン、カルシウムイオンが上昇」し「ナトリウムイオン、マグネシウムイオンが低下」しているとあります。また「塩素イオン濃度も低下している」とあります。(しっかり読んで別途報告します)
ま、つまり塩類「濃度(これが魚体の浸透圧に関わる)」も大事だが、病気時には、その「組成(何が多いか何が少ないか)」が大事なんでしょうね。
[私なりの解釈]
要は病気の時は体液の「カリウムを下げて、ナトリウムを上げてやる」ことが有効な様です。純粋な水分は適当に入れ替わりますがな。
だったら、食塩浴でしょ! NaCl ですがな!
塩(NaCl)は水中でNa+(ナトリウムイオン)とCl-(塩素イオン)に分解されて存在します。
食塩浴でナトリウムイオンと塩素イオンを補充や!!!
もう浸透圧もくそもどうでもええですやん!兎に角良いもの入れて悪いもん出しゃいいじゃないですか!
ナトリウムと水が入って、その変わりカリウムが出て行く。その理解でOKでしょ。
塩素イオンも、水道水のカルキ(次亜塩素酸ナトリウム、ジアソー)由来ほど高濃度では有害(トリハロメタンの生成)ですが、魚体への微量成分としては必要なのでしょう(適当ー)。
またマグネシウムイオンが低下することに対しても、日本ではそれほどなじみがないですが、海外の金魚愛好家が食塩浴同様に実施している「エプソムソルト浴」(硫酸マグネシウム)に関しても理にかなっていますね
《殺菌作用》
白点病の場合はシスト(点々)形成前の成虫は一定濃度以上の塩水で死滅しますので大変有効です。
それ以外のエロモナスやカラムナリス他への積極的な殺菌作用は不明確ですので、殺菌目的はそれに見合った薬に任せて、金魚の体調を整える意味で食塩浴を併用すれば良いと思います。
過剰に殺菌作用を期待するのは禁物です。
《ミネラル補充》
食塩浴では先のナトリウムとカリウムのバランス調整が大切なのであって、特に他の意味を持たないと思います。
ですから「補充」の為に食塩浴時で特別に「ミネラルが豊富な塩」や高価なアクア用製品を使用する根拠はありません。
《新陳代謝の活発化、ストレス解消》
塩がこれらに直接影響を及ぼすエビデンスは発見できませんでしたが、食塩浴で本来の調子を取り戻したなら新陳代謝も良くなるでしょうし、元気ならストレスも少ないでしょう。良い方向に行くと思います。
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【食塩浴に使う塩の種類は?】
先ほど書いたことの補足にすぎません。
「粗塩がいい」「ミネラルが入ってた方がいい」「精製塩がいい」等々色んな情報がありますが、どれも決定的な違いは解明されていません。
メカニズム的に「カリウムを排出してナトリウムを取り込む」ことが目的であるならば、「味塩」とかでなければどんな塩でも問題ないということです。
ミネラル豊富な粗塩でなくともいいですし、かといって精製度の高い塩でなくとも、普通に市販されている「食塩」でこと足りるはずで、実際多くの方がその様にされています。
適当にスーパーとかで買えばいいと思います。
「アクアリウム用の塩」を買っても良いですが、食塩浴本来の目的を達するなら「普通の塩」で十分です。
アクアソルトには先ほどの「塩で元気」の様に麦飯石等魚病薬を吸着する成分も含まれている製品がありますので、普段使うならいいですが病気時の「食塩+薬」にはかえって使いにく場合もあり購入・使用する時に注意です。
【食塩浴の濃度(量)と投入方法】
《量・濃度》
できる限り調べたり、ショップやベテランに聞いてみましたが「0.5パーセント」でやられる方が一番多く、それで多くの治療実績が報告されています(当社調べ。適当ー)。
もっと高濃度でのやり方(高濃度短時間浴)も効果が報告されていますが、初心者向きではなさそうで、それはまた調べてみます。
0.5パーで良いです。
「水10リットルに対して食塩50グラム」
です。
《塩の計量》
きっちり重さを計るのがベストでしょうが、スプーン等ですくって計っても大丈夫です。多少前後しても全く問題なし。
塩のかさ比重は「1.1」ですので概ね問題ありません。料理用の計量スプーンなら
5cc(小さじ)=5g
15cc(大さじ)=15g
計量カップ50cc=50g
です。
《水槽へ食塩を入れる時の注意と簡単な方法》
計量した塩をどかっと水槽にぶちこむのは避けた方が安心なようで、別の容器で溶かして30分〜半日や1日くらいかけて分けて入れることが推奨されています。
私は面倒くさいので、スドーサテライトにどかっと入れて運転しながら投入しています。
空のスドーサテライトに塩を計量して、溶かさずに運転を開始するのがコツです。ゆっくり溶けながら水槽に投入されます。
溶け残りが多いようなら時々軽く掻き混ぜてやると良いです。
【兎に角、問題を早期発見して食塩浴だと思います】
《早期発見が大切》
私なりの解釈をしてもメカニズムはややわかりにくい面もありますが、少なくとも弱った金魚が元気になる効果は実証されています。
普段からできる限り金魚を観察して問題の早期発見に努め、何かあったら食塩浴で対応可能な範囲におさめることが大切だと感じました。
またマグネシウムに関する「エプソムソルト浴」については効果があると思われ別途報告したいと思います。
《名言集》
「メカニズムの理解大事」などと宣いながら、結局「昔からやってるから良い」的な考えになってしまう私…
私ごときが語れることも無くなってきましたので食塩浴に関して歴史的な金魚飼育者の言葉を少しだけご紹介して終わりにしたいと思います。
・縄文時代から続く金魚の大家 1165代適当金次郎氏
「塩入れとったらなんとかなるわ」
・金魚愛好家として有名だが、実は元プロ野球選手であり、金魚の産地として有名な県で屋根にしゃちほこ金魚が付いてる球場で投手や監督として活躍。後に「阪金タイガース」で19年ぶりにキントラルリーグ制覇を達成し更に「楽金」という金魚専門ネット販売企業の監督も務めた星原金一氏
「食塩浴はわしが育てた!!」
・ブリストル朱文金で有名な大英帝国で首相を務め、金魚愛好家であるが故に「鉄魚の女」と呼ばれたマーガレット・キンチャー女史が開戦をしぶるヘタレな男性閣僚達に放った言葉
「ここに塩はないのですか?!」
・早逝したことが残念であるが、金魚と同様中国に出自を持ち世界的なアクションスターとして未だ影響力をもつブルース・キー
「ドンシンク!シーオ!」